鏡が登場する作品 02

「白雪姫」の魔法の鏡

ガラスが出てくる作品……というと思いのほか、出てきません。

「鏡の国のアリス」の次に思い浮かんだ作品は、誰もが知っている童話「白雪姫」。

「鏡よ鏡、鏡さん。世界で一番美しいのはだぁれ?」のフレーズで有名ですよね。白雪姫の継母(グリム童話では実母)の王妃が持っている「魔法の鏡」です。

しかし、このお話結構おっかないですよね。醜く年老いていく母親と、その母親の美しさや若さを吸い取ったような娘。童話として織り込むには重いな、と今なら思います。でも、実際問題として、娘の若さを嫉妬してどうするの、とも感じますね。
娘の肝臓(心臓)を塩ゆでにして食べても、過ぎた時間は戻らないのにと苦笑ばかりです。(グリム童話はそんなのばっかりなのですが。)
王妃様の執念はおっかない。猟師に殺すよう命令し、自ら腰ひもで娘を締め上げ、毒の付いた櫛を渡し、最後に毒りんご。4回も娘(義理の娘)の命を狙うわけです。どれだけ深く憎んでいるのか。

そのたび幸運だけ(美しさだけ?)で生き延びる白雪姫はなんてラッキーガール。4回命が助かるなんて、幸運に恵まれすぎでしょう、と呆れるレベルです。もはや何かに憑かれているレベル。

そして白雪姫の遺体に一目ぼれした通りがかりの王子も……どうかと思います。もしも、毒りんごのかけらを吐き出さなければ、王子はこの遺体をどうするつもりだったのか。埋葬するつもりだったら良いのですけど……。通りがかっただけにしてはインパクトありますよね、この王子。不気味すぎでしょう。何かのバージョンでは、白雪姫の遺体と数日過ごしたなんて描写もあるようです。白雪姫は設定では10歳。幼女OKの死体愛好家。実にぞっとします…。

そして、運だけの少女白雪姫(10歳)は死体愛好家の王子と結ばれ、王妃様を招待し…焼けた靴を履かせて継母(実母)に復讐を果たすのですよね。白雪姫は命の危機に4度遭遇して生還していますが、何もしていないのに……こんな時はばっちり復讐する辺り、彼女もおっかないです。しかも10歳でそんなことを思いついたのだから恐ろしい。仮に王子が行ったのだとしても、(自分を4度も抹殺しようとした)母親が目の前で踊り狂って死ぬさまを眺めている10歳の少女なんて…近寄りたくありません。怖すぎます。

もちろん、こんな怖い物語はグリム童話なのであって、昨今の絵本やディズニーの白雪姫では、残酷要素や不気味な要素はカットされていますけども。王子様のキスで目覚めて、白雪姫は幸せに暮らすのですけども。

そういえば、いちいち白雪姫の生存を告げていた魔法の鏡って、結局どうなったのでしたっけ? これまた割られていた気もしますが…